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ことばのふしぎ

言葉の不思議

寺田 寅彦

「鉄塔」1932(昭和7)年12月、1933(昭和8)年4月、7月、8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,114 字 · 23 页

青空文庫

一人称単数現在なら hasami だからよく似ている。h※(マクロン付きA小文字)sita は笑うべき事で「はしたない」に通じる。「はしゃぐ」が笑い騒ぐ事で、「あさましい」も場合によると「笑ひ事」であるのもおもしろい。

セミティックの方面でも (Ar.)basama は「微笑する」で「あさむ」「あさましい」と似ている。しかし「笑ふ」の dahika はむしろ「たはけ」に似ている。(Ar.)fariha は「喜ぶ」で「わらふ」に似ている。

「あさましい」はまた (Skt.)vismayas で「驚く」ほうにも通じるが、それよりも元の smi, smaya で微笑にもなる。

(Skt.)garh は非難するほうだが軽蔑して笑うほうにもなりうるのである。これも g+r である。そう言えば「愚弄」もやはり g+r だから妙である。

「べらぼう」も引き合いに出たが、これについて手近なものは (Skt.)prabh※(マクロン付きU小文字) また parama でいずれも「べらぼう」の意がなくはない。しかしまた、「強い」ほうの意味の bala から出た balavat だって似ていなくはない。