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はなしにきいたこんどういさみ

話に聞いた近藤勇

三田村 鳶魚

「日本及日本人」1930(昭和5)年10月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,503 字 · 15 页

青空文庫

それで唯々として新徴組であるといっていたほど、清河等数人を除けば、ありがたからぬ廉売の代物なのである。それがぶちこわれた幕府にしても、若年寄の格――今日でいえば政務次官か、事務次官か知らないが、ともかく次官というわけで出かけたのですから、近藤はうれしかったのでしょう。そういうことから考えても、彼の人柄がわからないことはない。そのぶちこわれた幕府でも、それが背景なり、持楯なりで、甲府城を乗っ取って、上方からの軍勢と戦うという元気を出せたのでありますが、御馳走酒に酔っ払って、もう甲府へ十七里という与瀬というところへまいりました時分に、敵はすでに信州の下諏訪まで来ている。この方は甲府へ十三里しかない。そうしてこの手には、いくさ上手である土佐の板垣退助さんが、兵を率いておられる。そういう内報を受けながら、近藤は疲れているからもう行かれないといって、与瀬へ泊り込んでしまった。その翌日は大雪で出て行かれない。また逗留している。ようやく笹子峠を越した時には、敵はすでに完全に甲府城を占領している。笹子を下りて柏尾というところで戦うようなことになっては、一溜りもあるものではない。