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はなしのたね
話の種
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页
しかるに今度仏国のカルメットという人の発表した所に拠ると、酒精で沈澱させたツベルクリンの一プロセント溶液を眼に点ずると、健康体ならば何の異状も起らぬが、少しでも結核のあるものならば、二十四時間内に充血して紅くなるという事である。千人近くの患者について試験をしてこの事を確かめたが、ある場合殊に小児などでは、他の方法でどうしても知れなかった結核の存在をこの法で見付けたと称している。
(明治四十年九月二十六日『東京朝日新聞』)
七
アフリカの杜鵑
アフリカに、杜鵑の一種で俗名を「蜂蜜の案内者」と称する鳥が居る。蜜蜂の巣の所在を人に知らせるからこういう名が付いているのだそうな。しかるに近頃ある動物学者が調べた処によれば、この鳥は普通の杜鵑のように、他の鳥の巣へ自分の卵を産んで孵化させるのみならず、一層性の悪い事をする。すなわち巣の中にある他鳥の卵、云わば我子の乳兄弟を嘴で突き破って殺してしまうそうである。それが万一僥倖に助かって孵化しても、親に似て性の悪い杜鵑の雛鳥に鋭い嘴で啄き出されてしまうという。
家の貧富と子供の体格