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はなしのたね
話の種
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页
(明治四十一年三月二十九日『東京朝日新聞』)
七十
料理に音楽
近頃シカゴ市で電気応用諸器械の展覧会があったが、これに関する同地の新聞の記事中に次のような奇抜な意匠が述べてある。すなわち料理番が肉なり野菜なりを竈に仕かけて煮えるのを待っていると丁度よい時分には電気仕掛けのピアノが鳴り出す、その煮物に相応したような曲を奏するというのである。あまり面白過ぎたような考案ではあるが、如何ほどまで電気が万能な勢力であるかという一例として御紹介するのである。但し考案だけで器械が出来たのではない。
(明治四十一年三月三十日『東京朝日新聞』)
七十一
土星の輪
太陽系に属する諸遊星の中で土星を取巻いている輪ほど不思議な面白いものはない。ガリレオ以来幾多の星学者、物理学者の脳を苦しませた代物である。それでその形状なども充分に研究されていた訳であるが、この頃仏国のある高山の天文台で観測していたら従来人の知っている輪の外側にもう一つボンヤリした輪のある事を発見した。この輪がこれまで発見せられなかったのは、従来の観測は皆低地でするのみであったため、下層の濁った空気に障られて見えなかったのだろうという事である。