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はなしのたね

話の種

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页

青空文庫

しかし血球などは全く痕跡もなくなっているそうである。木乃伊を作るには始め塩水に死体を漬け種々の樹脂の類を塗って固めたものらしい。これが六千年後の今日まで存しているのは、全くエジプトの空気が非常に乾燥しているためである。

(明治四十一年六月二日『東京朝日新聞』)

八十四

柔能く剛を制す

比較的に柔らかい鋼鉄の円板を急速度に廻転させ、その縁にごく硬い鋼鉄を当てると硬い方の鉄が容易に截断される。この不思議な事実を研究した学者の説によれば、鉄と鉄との触れる処は摩擦のために高熱を生じ鋼鉄が熔けて行くためであるという。

蜂の智恵

仏国学士院の報告中にボンニエーという人が次のような実験の結果を述べている。一日庭に角砂糖をいくつか出しておいたら、やがて一群の蜜蜂がこれにとまってしきりに骨折っていたが、堅くて喰い欠く事が出来ぬと見えて一時飛び去ってしもうた。少時して後、今度は泉水のある処から水を含んで来てそれで砂糖を溶かしその汁を吸うて巣に帰った。

(明治四十一年六月十九日『東京朝日新聞』)

八十五

天然色活動写真の発明