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はなしのたね

話の種

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页

青空文庫

この写真並びに幻灯に用いる赤緑二色の膜の色が最も研究を要するところであるらしい。

(明治四十一年六月二十八日『東京朝日新聞』)

八十六

写真の無線電送

写真電送という事が近頃大分流行の話柄となり、先達て仏国で無線電送の試験をしたとの記事もあったが、この頃また英国でクニューデンという人が非常に簡単な写真図画等の無線電送法を発見し大分評判になっているようである。その法はなんでもない。写真の種板が十分乾かぬうちに粉のようなものを振りかけると、光に感じている処だけ粉が粘着しそこだけ突起する。そこで今この種板の面に接近して針のようなものを万遍なく動かし、針の尖端が板の全面を隈なく通過するようにする。そして針と種板に発電器の両極をつないでおけば、針が種板の突起すなわち光に感じた部に触れるごとに電流が通る。この電流で適当の電波を起せば、この波は空中を伝わって目的地に達し受信器に感じて普通の無線電信と同様小さい針を動かす。この針の下には煤を塗った硝子板のようなものを置き、この板の上を針が往復運動する事ちょうど発信所と同じくしておけば、針は煤硝子の上に現物とほとんど変らぬものを描き出すのである。