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にんしきろんとはなにか
認識論とは何か
戸坂 潤
「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页
すると真理の階級性なるものは、夫々の階級的な真理の間の闘争と、一方の他方に対する勝利による発展、ということを云い表わす。単に真理が相対的であることを云い表わすのではなくて、却って真理が如何にしてその与えられた相対性を克服するかの道筋を説明するものなのだ。
だから真理の階級性は、真理の相対主義的主観性を指向しようとするのではなく、却って、相対的な現実の真理事情のもつ客観的な方向量を指向するものである。この階級的主観の相対の間に於ける客観的方向量を、真理の党派性とマルクス主義では呼んでいる。之は当然、実践的模写説の採用する処とならねばならぬ。普通、党派性は常識的には偏頗な宗派性のことと考えられている。だが真理というものは或る論理的張力を有つ。そういう張力はただの傾向などではなくてシステムである。真理の階級性という以上、ただの階級的属性のことではなくて、それに照応する論理的システムを意味しなくてはならぬが、夫が真理の党派性だ。その党派性を論理的に貫徹出来るような階級的真理でなければ、克服し勝利する真理であり得る筈がない。――この意味に於ける論理の階級性・党派性・の分析を与えた最初の人は、恐らくJ・ディーツゲンだろう。