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にんしきろんとはなにか
認識論とは何か
戸坂 潤
「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页
彼の哲学的理論には多分の挾雑物があるが、彼が持ち出した「プロレタリア論理学」という観念は注目に値いするものである。マルクス・エンゲルス・を経てレーニンは、この要点の最も明快で鋭い理解者であった。
今日、階級性と並んで民族性や国民性が唱えられているが、之は真理の国民的・民族的・事実上の特色を指すだけであって、それ以上のものへ出ることは出来ない。之は民族性や国民性のもつ党派性(?)という論理的な問題には行き得ない。論理は常に矛盾によって媒介される。そこでは、テーゼとアンティ・テーゼとの二者が必要であり、又一切の対立が二者へ要約されることを必要とする。一切の社会階層身分が、二つの階級に要約されるとすれば、それは社会の矛盾による進展という論理的な本質に照応するからのことだ。処が諸民族・諸国民・の関係は、そういう論理的一双性乃至二体性を持たぬ。真理では論理的首尾一貫が問題であって、ただのあれこれの断片的特色が問題ではない。このことを忘れると、忽ち思考が混乱するのだ。――さて以上のような考察を参照しないならば、ヘーゲル風の具体普遍真理説も、死んだものと選ぶ処がなかっただろう。