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いかにどくしょすべきか

読書と人生

三木 清

三木清『読書と人生』。同一底本的分册已合并为一书。收入:如何に読書すべきか、軽蔑された翻訳、書物の倫理、西田先生のことども、ハイデッゲル教授の想い出。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,486 字 · 57 页

青空文庫

(精神)の哲学が完成されるようになったのである。

哲学者ライプニッツもその必要を大いに認めた飜訳というものの意味は、外国語を知らない者にその思想を伝達することに尽きるのではない。思想と言葉とが密接に結合しているものである限り、外国の思想は我が国語をもって表現されるとき、既にもはや単に外国の思想ではなくなっているのである。意味の転化が既にそこに行われている。このときおのずから外国の思想は単に外国の思想であることをやめて、我々のものとして発展することの出来る一般的な基礎が与えられるのである。飜訳の重要な意味はここにある。このことを考えるならば、飜訳でものを読むということは学問する者にとって恥辱でないばかりか、必要でさえあることが分る。

支那や日本に於ける仏教の発達の場合を見よ。この独自な発達は原典ではなく、却って飜訳書の基礎の上に行われたのである。或いはポエチウスによるアリストテレスのラテン訳が中世のスコラ哲学の発展に与えた影響、或いは聖書のルッテル訳がドイツ文化の発展に及ぼした影響などを想い起すがよい。何でも原書で読まねばならぬと思い込んでいることが如何に無意味であるかが分るであろう。