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いかにどくしょすべきか

読書と人生

三木 清

三木清『読書と人生』。同一底本的分册已合并为一书。收入:如何に読書すべきか、軽蔑された翻訳、書物の倫理、西田先生のことども、ハイデッゲル教授の想い出。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,486 字 · 57 页

青空文庫

然るに日本の学者の多くは何故かそのように思い込んでいるのである。彼等は飜訳書を軽蔑することをもって学者の誇であるかのように考えている。なるほど、どのような飜訳も、飜訳たるの性質上、不正確、不精密を免れない。誤訳なども多い。しかしこのような欠点は語学者や註釈学者にとっては最も重大な性質のものであって、自分で考えることを本当に知っている者にとっては何等妨害とならないのみか、そのような不正確、不精密、誤訳から却って面白い独創的な思想が引出されている場合さえあるのである。これは少し綿密に思想の歴史を研究した人には容易に認められ得ることである。

私は固より誤訳の出現を希望する者ではない。寧ろ正反対である。しかし私は今日学問する人が、先ずもっと我々同志の書いたものに注意すると共に、次に日本語になった飜訳書をもっと利用することを希望せずにはいられない。原書癖にとらわれて飜訳物を軽蔑し、折角相当な飜訳が出ているのに読まないで損をしている学徒も多い。どんなものでも原書で読もうとしているために、自分で考える余裕を奪われている人もある。なんと云っても飜訳なら速く読める、その上飜訳書はその内容の要領を掴む点から云っても便利である。