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どくしょへんれき

読書遍歴

三木 清

「文芸」1941(昭和16)年6月~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,120 字 · 72 页

青空文庫

当時はそのようにドイツのたいていの大学町には日本人留学生が多数にいたのである。マールブルクで知った人々には、大谷大学の鈴木弘氏、立正大学の守屋貫教氏、九州大学の四宮兼之氏、今は文部省にいる長屋喜一君があり、山下徳治君が来た。

その頃マールブルクへ行った人々は、哲学の方面ではニコライ・ハルトマンとハイデッゲル、宗教学の方面ではオットーを目差していた。守屋氏や鈴木氏は『聖なるもの』の著者として世界的に有名になったオットー教授を中心としていられたようであり、四宮氏や長屋君はハルトマン教授を目的としていられたようであり、私自身はハイデッゲル教授を目標としていた。というのは、ちょうど私がマールブルクへ行った学期に、ハイデッゲル教授はフライブルクからマールブルクへ招聘されたので、私は主として氏に就いて学ぶためにハイデルベルクから転学したのであった。教育学の研究を目的としていた山下君はナトルプ教授やイェンシュ教授に就いていた。私はナトルプの著書は京都にいた頃いくつか読んで敬意を払っていたが、その講義には山下君に誘われて二、三度出てみたきりであった。その時の講義はやがて『実践哲学講義』