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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

豊島与志雄『豊島与志雄童話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:お月様の唄、お山の爺さん、影法師、キンショキショキ、金の目銀の目、銀の笛と金の毛皮、コーカサスの禿鷹、正覚坊、狸のお祭り、手品師、天下一の馬、天狗の鼻、泥坊、天狗笑、長彦と丸彦、ひでり狐、不思議な帽子、彗星の話、街の少年、山の別荘の少年、夢の卵、雷神の珠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 页

青空文庫

泥坊

一

ある所に、五右衛門というなまけ者がいました。働くのがいやでいやでたまりません。何か楽に暮らしてゆける途はないかと考えていますと、むかし石川五右衛門という大盗人がいたということを聞いて、自分も五右衛門という名前だから、泥坊になったらいいかも知れないと考えました。

それで彼は家を飛び出して、ある橋の下に住みました。昼間はそこで寝て暮し、夜になると盗みに出かけました。ところが、そうやすやすと人のものを盗めるものではありません。毎晩しくじってばかりいて、ろくろく御飯も食べられない始末になりました。

ある日なんか、一晩中駆け廻っても、物を盗むことはいうまでもなく、ごみだめから食物のあまりを拾い取ることも出来ないで、まだ朝の暗いうちにぼんやり帰って来ました。そして、橋の欄干にもたれて、どうかして上手な泥坊になる工夫はないものかと、しきりに考えていました。

すると、横の方からひょっこり、一人のお爺さんが出て来ました。五右衛門はびっくりしてたずねました。

「あなたは誰ですか」

「わしは仙人じゃ」とお爺さんは答えました。

よく見ますと、まっ白な長い髯がはえていて、手には節くれ立った杖をつき、何だかわからないぼろぼろの着物をきて、なるほど仙人らしいようすでした。