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ぶたきちとヒョロこ

豚吉とヒョロ子

三鳥山人

「九州日報」1926(大正15)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页

青空文庫

「ええっ。そんなことが出来ますか」

「ウン、出来るとも出来るとも。お前達はおれの腕前を知らないからそんなことを云うけれども、おれが持っている薬の力ならば、どんなことでも出来ないことはないのだ」

「ありがとう御座います。それではすぐに治して下さい」

「イヤイヤ、ここでは出来ぬ。それには支度が要るから、どこか鍛冶屋へ行かなければ駄目だ。今からすぐ行くことにしよう」

と、無茶先生はすぐにお薬を取り出して、鞄の中へ入れ初めました。

その時にはるか向うから、

「ワーッ、ワーッ」

「あすこの家に珍らしい夫婦が逃げ込んだ」

「無茶先生の家だ無茶先生の家だ」

「それ、押しかけろ押しかけろ」

と云う声がすると一所に、あとからあとから大勢の人間が押しかけて、無茶先生の家のまわりを一パイに取り巻いてしまいました。

無茶先生はこれを見ると真赤になって憤り出しました。

「こん畜生。来やがったな。よしよし、おれが追払ってやる。お前達は二人共鼻の穴にこの綿を詰めてジッとしていろ。そうして、馬鹿共が居なくなったら、すぐに逃げられるように用意していろ」

と云ううちに、無茶先生は自分の鼻の穴にも綿をドッサリ詰め込んで、丸裸体のまま表に飛出して大勢の者を睨み付けますと、