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ぶたきちとヒョロこ
豚吉とヒョロ子
三鳥山人
「九州日報」1926(大正15)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页
「ハックションハックション」
と嚔をしながら眼をさまして、起き上りました。
「ヤア。お早う」
と無茶先生が声をかけますと、二人とも眼をこすりながら、
「お早う御座いますお早う御座います」
とお辞儀をしましたが、又それと一所に二人とも飛び上って、
「アア、大変だ。咽喉がかわく咽喉がかわく。ああ、たまらない。腹の中じゅう塩だらけになったようだ」
「私も口の中が焼けるようよ。ああ、たまらない」
といううちに、二人とも谷川の処へ駈け寄って、ガブガブガブガブと水を飲み初めました。
「アハハハハハ」
と無茶先生は笑いました。
「咽喉がかわく筈だ。お前たちは塩漬けになっていたんだから」
「エッ。塩漬けに……」
と二人共ビックリして、水を飲むのを止めてふり向きました。
「ああ。おれはお前たちをこの樽に塩漬けにして、おれはやっとここまで逃げて来たんだ」
と、無茶先生が今までのことを話しますと、二人は夢のさめたように驚きました。そうして、いよいよ無茶先生のエライことがわかりまして、その足もとにひれ伏してお礼を云いました。
しかし、やがてヒョロ子は自分の身体のまわりを見まわしますと、泣きそうな顔になりました。