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ぶたきちとヒョロこ

豚吉とヒョロ子

三鳥山人

「九州日報」1926(大正15)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页

青空文庫

「けれども先生、私たちはこんなに裸体になりましたがどうしましょう。このまま道は歩かれませぬが、どことかに着物はありませぬでしょうか」

「まあ、待て待て」

と無茶先生はニコニコ笑いました。

「そんなに心配するな。ここは山奥だから誰も見はしない。だから恥ずかしいこともないのだ。お前たちの身体がどんなに長くても短くても笑うものは無いのだ。それよりもおれについて来い。これから長い長い旅をするのだ。そうするとおしまいにいい処へ連れて行ってやるから」

と云ううちに先に立って歩き出しました。

豚吉とヒョロ子は無茶先生のあとからついてゆきますと、無茶先生は包みを一つ抱えたまま先に立って、二人をだんだん山奥へ連れてゆきました。そのうちにお腹が空きますと、ちょうど秋の事で、方々に栗だの柿だの椎だの榧だのいろんな木の実が生っております。それを千切ってたべては行くのでしたが、都合のいい事はヒョロ子が当り前の人の二倍も背が高いので、いつも三人が食べ切れない程木の実を千切ることが出来ました。

そのうちになおなお山奥になりますと、鳥や獣が人間を見たことがないので珍らしそうに近寄って来ます。