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ぶたきちとヒョロこ
豚吉とヒョロ子
三鳥山人
「九州日報」1926(大正15)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页
お爺さんがもう大分行ったと思うと、無茶先生はその家の表へ出て崖の上を見ながら、
「オーイ。降りて来――イ」
と呼びました。
「ハーイ」
と豚吉とヒョロ子が返事をしますと、やがて二人とも降りて来ましたが、久し振り人間の住む家を見ましたので、二人ともキョロキョロしておりました。
一方に、お使いに出たお爺さんは、二三町行った時うしろの方から誰か大きな声で呼ぶ声がしましたので、立ち止まって見ておりますと、やがて家のうしろの崖の上から恐ろしく背の高い女と背の低い男が、しかも丸裸で降りて来て自分の家に這入りましたので、お爺さんの胸は急にドキドキし初めました。そうして、これは何でも不思議なことが初まるに違いないと思いまして、ソッと引返して裏の方へまわって、そこにあった梯子を伝って屋根裏から天井へ這入って、家の中の様子をのぞきました。
鍛冶屋の爺さんが天井の節穴から覗いているとは知らずに、無茶先生は久し振り人間の住む家に這入ってキョロキョロしている豚吉とヒョロ子のうしろから鍛冶屋の鉄槌で頭を一つ宛なぐり付けますと、豚吉とヒョロ子はグーとも云わずに土の上にたおれてしまいました。