轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひょう

豹

山本 周五郎

「アサヒグラフ」1933(昭和8)年9月20日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,656 字 · 14 页

青空文庫

「叔父さんたら」

「何だ」

正三は純子の眼を外らしながら、縁先に蹲んで一政を見た。

「あのねえ、豹が殺されたんですよ」

「ほう、いつ……?」

「昨日叔父さんがお留守のあいだに、ねえ母さま」

正三はちらと母屋のほうを見た、純子は大きく瞠った眼で冷やかな頬笑を浮べながら、しばらく正三を覓めた後外向いた。

「僕おやつをいただいていたんです、そうすると村雨堂のほうで鉄砲の音がしたんですよ、なにかしらと思ってねえ、芳やと一緒にお庭のほうへ出ていると、ずいぶん経ってから小田さんのおじさんが来たんです、そして今そこで豹をうったって云うんです」

正三は放心したように空を見上げた。一政は熱心に、芳やと見に行ったときの情景を語っていたが、正三の耳にはまるで違った言葉が甦ってきていた。

――裏で物音がしたんです、豹じゃないかしらん?

韻の深い嫂の声だ。

それにしてはそのときすでに彼女は、数時間前に豹が松風村雨堂の付近で射斃されたことを知っていたはずではないか。正三は悪寒を感じたように、唇を噛みしめながら立って部屋へ戻った。そして射斃された獣よりも、もっともっと身近に、闇の廊下で自分の唇の上に押合わされたもののほうが、豹の正躰であったのだと知った。