轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひょう

豹

山本 周五郎

「アサヒグラフ」1933(昭和8)年9月20日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,656 字 · 14 页

青空文庫

純子の表情は日頃の静かさをすこしも変えていなかったが、言葉の端々には隠しきれぬ心の動きが感じられる。

「信じないのね、いいわ。必要ならその女から来た手紙を見せてあげます、その女が兄さんの子供を生んだとき寄来した手紙を――」

正三が驚いて顔をあげようとしたとき、近くで鈍い銃声が起った。そして裏手の空地のほうを、けたたましく何やら罵喚きながら、四五人の人たちの走り過ぎる気配がした。

「さあ、寝ましょう」

純子が静かに立上った。

「嫂さん」

正三は思い切った調子で

「それ、本当ですか、兄さんが家政婦に子を生ませたという話――」

「内緒よこんなこと、私どうかしてるのね今夜、聞かないつもりでいてちょうだい、ねえ」

返事をどうしたらいいか迷っていると、前より遠くで、また続けさまに二三発銃声がした。純子は扉から出て行きながら、

「正三さん今夜もこっちへお泊んなさい」

と呟くように云った。

明る日正三は図書館へでかけて行った。

兄の自殺の原因を初めて具体的に聞いて、正三の気持はひどく動揺していた。父や親戚の反対を押切って、無理やり結婚をしたほど嫂を愛していた兄が、三年そこそこの別居で外の女に子を生ませたという。