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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
田中貢太郎『貢太郎見聞録』。同一底本的分册已合并为一书。收入:変災序記、死体の匂い、日本天変地異記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,162 字 · 59 页
この建保年間には、元年から二年三年と続けて十数回の強震があった。安貞元年三月にも大地震があって、地が裂け、所所の門扉築地が倒れた。古老はこれを見て、去る建暦三年和田佐衛門尉義盛が叛逆を起したころにも、こんな大地震があったと噂しあったということである。仁治元年四月の地震には海嘯があって、由比ヶ浜の八幡宮の拝殿が流れた。建長二年七月の地震は余震が十六度に及んだ。
正嘉元年八月の地震は、最もひどい地震で、関東の諸国にも影響を及ぼしている。それには神社仏閣、人家はもとより立っている建物の一軒もないように潰れ、山が崩れ、地が裂け、地の裂け目からは、泥水を吹き、青い火を吹いて、余震は月を越えた。そしてその翌年の八月に大風があり、三年に大飢饉があり、正元に入ってから二年続けて疫病があったので、日本全国の同胞は大半死につくしたように思われた。日蓮の立正安国論はこの際に出たものである。
永仁元年四月の地震も、正嘉の地震に劣らない地震であった。そのころは怪しく空が曇っていて、陽の光も月の光もはっきり見えなかったが、その日は墨の色をした雲が覆いかかるようになっていた。