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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页
。」と清しき御眼に暗涙あり。
お丹は冷然として、「不可ません。私は探訪員の義務として、貴女のことを通信するのは、大変な価値があるので、今度の新聞材料は人の生命が要ったくらい。どうしても堪忍しません。ただ私の謂うことを聞いて海外へいらっしゃい。何なら露西亜へでもお出なさいな。」
綾子は呟くごとく、「それでは日本からまるで放逐されるようなものだ。」「まずそうですね。」と冷笑一番、「いやいや、どうしても外国へ行く気は無い、ではこうしておくれ。今ここで、お前の眼の前で、自……自殺をする。身体は死んでしまうから、ただ名誉だけ助けておくれ。」
と肺肝を絞る熱涙滴然、もって人類の石心を和ぐべく鉄腸を溶解すべし。
されど悪魔は冷々然、「自殺をするほどの罪があると、貴女の心に思うのなら、いつでもなさいまし。毒薬を飲むの? 咽喉を突くの? 笛を掻斬る時後へ反ると、もう、手が利かなくなって死損います。背後から私が抱いていて上げましょう。モルヒネならちょうど死なれる分量を――御存じなくば見積って、私の掌から飲ましてあげましょうか。」これ鬼言なり。
綾子は喜べる色ありき。