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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

惟うに博学多才なる深川夫人が慈善会を代表して、渠が暴行を戒めしに、屈服したりしものならんか。弁論今や終局して、綾子は渠が服罪を待たるる様子。

されども婦人は徹頭徹尾口を結びて開かざるなり。綾子はまた、

「尤も不束なものが寄合っていたすのでございますもの、行届かぬがちには相違ございません。少しの過失があるからって、直ぐああいう愛想尽をなさいますのは、そりゃ貴女無情ではございませんか。

この会を一呑みになすった先刻の振舞、私も呆れながら感心しました。で、きっと私共の会に対して不平がおありなさるんでしょう、就いては御意見がございましょう、それを承りたいものですね。」

と真綿で首、

上靴の爪先にて床をとんとんと叩きつつ渠が返事を促せど、聾せるがごとく死灰のごとし。

あたかもこの時「新聞。」と戸を叩きて呼ぶものあり、綾子は椅子をずらしてちょいと振向き、

「後で可いよ。」

外より推返して、「この会のことが出ております。」

「そう、ではこちらへ。」

小使恭しく入来りて卓子の上にそれを載せつ、一礼して退出ずるを、と見れば毎晩新聞なり、綾子は傍に推遣りて、

「サ、どうでございます。