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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

それよりは家賃を廉くして私等が自力で一杯も飲めるようにしてくれた方がほんのこと難有えや。へこへこ御辞儀をして物を貰うなあちっとも嬉くねえてね。そしてまた無暗に施行々々といいなさるが、ありゃお前、人を乞食扱にするのだ。

目下の者を憐むんじゃなくって軽蔑するのだ。トまず謂ってみたものさ。お前様方が人中で面を曝して、こんな会をしなさるのは、ああ、あの夫人は情深い感心な御方だと人に謂われたいからであろう。

その時は、誰か頂くものがなければなるまい。してみると貰うて進ぜる方がまだお前達の面を好くして、名を売ってやる恩人だ。勘定すれば一銭も差引無し、こちとらは鰹節で、お前様方が旨え汁を吸うといったようなものだ。

そこでそれ、お前達が人に誉められるために私等に税金をお出しなされる。今日はそれを取上げに来やした。志ありだけ寄来さっせえ。」と大声に喚立つれば、ここの夫人も辟易して、休息所へふいと立つ時、

「おっ、臭え、ふわふわ湯具を蹴出すない。」と鼻を掴みて舌を吐きぬ。

ちょいと雛形がこんなもの。三十余人の貧民等、暴言を並べ、気焔を吐き、嵐、凩、一斉に哄と荒れて吹捲くれば、花も、もみじも、ちりぢりばらばら。