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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页
育児院は、ナニ、養生をしてるので、私等は九死一生、餓死、凍死をしようとする大病人、ちょいとそれ繰廻を附けて下すっても可かろうと思いましてね。」と手前勝手の一理窟。
「そんならなぜそのように神妙に御慈悲を願わない。」
「はい、貧乏人に式作法はございません。」
「汝、言いたい三昧なことをいやあがる。何しろ家宅侵入だ。処分するぞ。」
といってみたものなり。これだけの人数を食客に背負込みては警察大難儀。
お丹片頬に微笑を含み、「じゃあ御拘引下さいますかね。」巡査少し慌てて、「どこへ。」「はてさ、御役所へ。」「何い。」と眼をれば、お丹笑い出し、「実はね、宿六滅法不景気で、山の神や、小児連中、顎が干上るもんですから、多時お扶持を頂いて来いって、こんなに申しますので、お言語は渡に舟、願ったり叶ったりでございます。」
「何もたって拘引するとは言わん。」
「いいえ、御遠慮には及びません、どうぞお拘引なすって。」
警官は持余しぬ。さりとて不問にも帰し難ければ、「ともかくも戸外へ出ろ。」と数珠形に引立てて戸外へ出ずれば、今まで荒れに荒れた屠犬児、神妙に畏りて、「へいへい私も御一所に。