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あかいえりまき

赤いえり巻き

小川 未明

「童話研究」1928(昭和3)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,686 字 · 8 页

青空文庫

」といって、しまいには、小言をいうよりか、みんなは、それが愛嬌になって、おかしがって笑ったのです。

それほど、彼女は、罪のない少女でした。

「お花は、東京がいいか、それとも田舎がいいかい。」と、家のものが、聞きました。

彼女は、すぐに返事をせずに、笑っていましたが、二つの黒い目をかがやかしながら、

「おら、田舎がいい。」と答えました。

「どうして?」と、家の人たちは、いいましたが、こう聞くまでもなく、華やかな自然が目の前に開けて、鳥のように自由に駈けまわったであろう彼女の姿を想像すると、なんとなく彼女が不憫に感ぜられたのであります。

ほんとうに、東京の冬は、雪こそ降らないが寒かった。彼女は、使いに出るのに、姉さんが、こちらへくる時分に買ってくれた、赤いえり巻きを忘れずにしていきました。それには、なつかしい姉のまごころがこもっていると思われたから……。田舎から、手紙のくるたびに、彼女は、目をうるませていました。

「お花は、あの赤いえり巻きが、たいへんに気にいっているらしいんですよ。」

こう、奥さまは、主人にいわれたこともあります。

「あのえり巻きをして、汽車から降りたとき、真っ赤だったね。