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あかいガラスのきゅうでん

赤いガラスの宮殿

小川 未明

「赤い鳥」1929(昭和4)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,930 字 · 10 页

青空文庫

そら、おまえにもくれてやろう。」と、平三は自分の食物をわけて、からすに投げてやりました。

からすという鳥は、黒い陰気な鳥で、人間にはきらわれますが、なかなかりこうな鳥でした。さかしそうな目つきをして、木の枝にとまって、平三の方を見ましたが、じきに飛んできて、それを食べました。それから後は、いつでも平三の小屋の近くにいて、遠くへいっても、また、このあたりの木に帰ってきました。

雪のないうちは、手助けにやとわれたりして、どうにか暮らしてゆきましたが、雪が降ってからは、外の仕事もなくなってしまい、平三をやとうようなものもなかったのです。

「平三は、どうしたろうな。」

「せんだって、往来を通っていたら、からすが屋根にとまって、アホウ、アホウと鳴いていたぞ。」と、戯談をいったものがあります。

「無欲な、正直な人間だ。そんな悪口をいうもんでねえ。雪が降って、仕事がなくなって困っているだろうから、私は、明日にも、ちょっといってのぞいてみるつもりだ。みんなも、なにかよけいなものがあったら、くれてやるがいいだ。」と、老人が、口をいれました。

こんなに、かげで、村の人から同情されているとも知らずに、平三は小屋の中で、一人で雪ぐつをつくっていました。