轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

03 むじな長屋

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,416 字 · 53 页

青空文庫

――たしかに、これは半太夫の口まねだ。

登はそう思いながら、さりげない調子でお雪に云った。

「それは森の意見なのか」

お雪はわるびれずに頷き、微笑した、「ええ、森先生もそう仰しゃっていますわ」

「おれにはおれで意見があるさ」そう云ってから急に登は顔をしかめ、突っかかるような口ぶりになった、「森は自分をごまかしているんだ、誰だって本心は出世をしたい、名をあげ産をなすことは、人間本来のもっとも強い、正当な欲望だ、赤髯はいいさ、彼はもう名医として知られているし、大名諸侯や富豪などから、礼を厚くして迎えられる、しかも門戸を構えもせず、こんな施療所で働いていることは、彼の名声をさらに高めるだけだろう、しかしおれたちはそうじゃあない、おれたちは無名の見習医だ、こんなところにいつまでもいれば、生涯無名のままで終るほかはない、おれはそんなことはまっぴらだ」

「疲れていらっしゃるのよ、保本先生」とお雪は劬るように云った、「そんな意地わるなことを仰しゃるのは、お疲れになっている証拠よ、いっておやすみなさいましな」

登は両手を垂れ、そして歩み去った。

彼は恥ずかしくなった。