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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 页
「では申しあげます。先ず第一に、笛吹川画伯の亡くなった時刻に、奥様は何処にいらっしゃいましたか?」
「まア、お前は……。何を失礼なことを考えているんです。わたしは、どこにいようと、余計なお世話です」
「失礼だとあれば、私は追窮はいたしますまい。しかし万一、捜査課の警部たちがひきかえして来て、奥様にこの質問をいたしたものと仮定しますと、唯失礼だと許りで追払うことは出来ますまい。不幸にもあの時刻に於ける奥様の現場不在証明は不可能でいらっしゃいましょう」
「……」
「第二には、旦那様のご存じないところの、笛吹川画伯と奥様との御交渉でございます。これも失礼と存じますので、内容は申しあげません。第三に……」
そのとき兄は、大きな咳払と共に、重い扉を押して室内に入って来ました。勝見は白々しく敬礼を捧げましたが、再び嫂の方に向い、
「では麻雀競技会にいらっしゃるお客様は、八十名と考えましてお仕度をいたしましょう。会場は階下の大広間を当てることにいたしましょう。卓の方は、早速、聯盟の事務所と打合せまして、ハイ、もう外に伺い落したことはございませんか。では……」
勝見はすこしも臆れる様子もなく、扉をあけて去りました。