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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 页
深夜の沈黙は死のように静かでありましたが、時々赤耀館のどこかの室で、トーントーンという鈍い物音がきこえ、其の度に胸がわくわくするのを覚えました。
嫂の変死の報せが赤耀館に到着したのは、その次の日の早朝であったのです。百合子は呆然としてしまって、どうしたものやら途方に暮れてしまいました。
使いの警官の話では、嫂らしい人が、築地の某ホテルの一室に死んでいるから、早く見に来て呉れということでした。百合子は事情をうちあけた上、これではとても自分では処理がつかないから、元此の家に勤めていた勝見伍策を警察の手で呼びよせて呉れるように、彼が残して置いた郷里の所書を示して頼みました。そして警官の案内で、その築地の某ホテルへ、すすまぬ足を運んで行ったのです。
築地の川べりに近く、真黄色な色にぬられた九階だての塔のような建物がありますが、それがそのホテルなのです。入って行きますと、見知り越しの尾形警部が、いまにも仆れそうな青い顔をして、百合子を迎えましたが、すぐ現場へ案内して呉れました。それはバスルーム付きの十六畳もあろうと思われる大きな贅を尽した部屋でした。室の一隅には、大型のベッドが二台並んでいます。