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せきようかんじけんのしんそう

赤耀館事件の真相

海野 十三

「新青年」博文館、1929(昭和4)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 页

青空文庫

尾形さんは、私の言ったように、外に居て、私達の持って来たX線の装置を壁に添い、静かに動かして呉れ給え。此の室は暗室にして、私が独り居ましょう。お嬢様は外へ出ていらっしゃってもよろしいし、おいやでなければ此室に居て下さい。なにか面白いものをお目にかけられるかもしれないのです」

「私はこの室に居とうございますわ」

「そりゃ勇しいことですな。ですが、私の許しを得ないで無暗に動き廻ると、X線を浴びて石女になるかも知れませんよ。はっはっ」

「まア」

赤星探偵は時間を打ちあわせ、尾形警部を外に出しました。いつの間にこの建物の外に搬んで来たものか、そこには一台の移動式X線装置が置かれてありましたが、警部は時計を見つつ、心得顔にスイッチを抑え、抵抗器の把手を左右へまわすのでした。ジージーと放電の音響がきこえ、X線は実験室の壁をとおして内部へ入ってゆくようでした。暗室の内では、鉛の前垂をしめた赤星探偵が、大きな石盤のような形をした蛍光板を目の高さにさしあげ、壁とすれすれにそれを上下に動かしています。探偵の夜光時計が二分を刻むごとに、彼は一歩ずつ左へ体をうつし、前と同じような恰好で蛍光板をのぞきこむのでありました。