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ちょうかきんむ
超過勤務
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,619 字 · 31 页
たとも云わずに、がちゃりと切っちまやがる」
おっさんとはなんだ、と彼が云いかけたとき、エア・キャリアのブザーが鳴り、彼が手を出すまえに蓋をぽんとはねて、円筒がデスクの上へとび出した。彼は口をあけて、信じられないとでもいうように、いまとび出した円筒をじっと見まもっていた。
「なんだいまじぶん」彼は呆然と呟いた、「このうえなにをさせようというんだ」
電話のベルが鳴り、彼は受話器を取りながら、自分の腕時計を見た。
「四時二分前、まだこんな時間か、――はあ、いえなんでもありません」彼は明るく微笑してみせる、「はあ、はあいま届きました、はあ、いえまだ時間がございますから、はい、はあ月曜日にでございますね、承知いたしました、はい、はい、承知いたしました、いいえまだ仕事が残っておりますから、はい、ごめんくださいまし」
彼はおじぎをして受話器を置き、ベル・ボタンの一つを押してボイス・パイプの蓋をあけながら、ハンカチを出して額をふいた。
「給仕くんお茶」と彼はパイプの中へどなった、「きみ給仕くん、――」
彼はパイプの蓋を閉め、もういちど額をふいて、ハンカチをしまい、記帳にかかろうとして、そこにある