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えっちゅうつるぎだけせんとうき
越中劍岳先登記
柴崎 芳太郎
「山岳 五の一」1910(明治43)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,078 字 · 7 页
母指との間のような処に出ました、もっともこの積雪の上を徒渉するのにどうしても滑りますから鉄製の爪あるカンジキを穿いて登るのであります。
この積雪地よりは草木を見ず、立山の権現堂より峰伝えに別山に赴く山路の如く一面に花崗片麻岩にてガサガサ岩の断崖絶壁削るが如く一歩も進む能わず、引率せる人夫四名の中氏名不詳とせし男は此処より進む能わずとて落伍しました、残りの一行は更に勇を鼓し一層身軽にし双眼鏡、旗、鍋の外は一切携帯せずに進むこととなりましたが、その苦しい事は口にも述べられぬほどです。上の方に攀登るのに綱を頭上の巌にヒョイと投げかけ、それを足代に登りかけると上の巌が壊れて崩れかかるという仕末で、その危険も一通りや二通りではありません、こんな処が六十間もありましたが、其処を登りますと人間のやや休息するに足る場所がありましたからホッと一休みしました、また其処よりは立山の権現堂からフジという処を経て別山に赴くほどの嶮路で花崗片麻岩のガサ岩ばかりであります。かくて漸く絶頂に達しましたのは、午前十一時頃でありました、この絶頂は円形のダラダラ坂で約四、五坪もありましょう。