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えちごじし
越後獅子
羽志 主水
「新青年」博文館、1926(大正15)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,114 字 · 15 页
火の出る二三十分前にも、亦烈しく始まったが、妙にパッタリ鎮まったとは思って居ました。
夫に、又聴きだから、詳しくは知らないが、慥か去年の暮、お時さんに生命保険をつけたッて事です」
署長の睨んだのが、亭主の勝次郎だことは、明かである。従って其調べが、寸分の弛もなく、厳重に行われたことは勿論だ。
勝次郎は、中肉、寧ろノッポの方で、眼付きは剛いが、鼻の高い、浅黒い貌の、女好きのする顔だった。
声は少し錆のある高調子で、訛のない東京弁だった。かなり、辛辣な取調べに対して、色は蒼白めながらも、割合に冷静に、平気らしく答弁するのが、復、署長を苛立たせた。
「此奴中々図々しいぞ、何か前科があり相だ。早速取調べさせよう」
と署長は考えた。
然し本人の答弁は、キッパリして居た。
「お時をドウするなんて事は、断じて有りませんし、そんな事は考えた事も有りません。
夫れァ、喧嘩も仕ました、常平生、余り従順しく無い奴で、チットは厭気のささないことも無かったんです。何しろ、嫉妬焼きで、清元の師匠と、変だなんて言いがかりを為るのが余り拗いので、今夜も殴り倒して遣りました。一体、今夜は、大師匠(延津○の師匠喜知太夫)が、ラジオで、『三千歳』