轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みがわりのはなよめ
身代りの花嫁
野村 胡堂
「少女倶楽部」1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,685 字 · 22 页
「いいえ」
「すると、棒紅だけそっと取って、二、三日してから函へ返しても判らないわねえ」
「そうね、だけど」
「関谷さんには疑われる人なんかないって仰しゃるんでしょう」
「え」
詩子はうなずきました。詩子には大きい財産があったにしても、戸主の兄が洋行中は、遠縁の関谷夫婦が後見をして、長い間なんの間違も起さなかったし、もし、詩子を殺して財産を手に入れようとするなら、結婚式を挙げる前に、いくらも機会があったわけですから、これはどう考えても疑う余地はありません。
勇美子は、その足ですぐ陽子を誘って、神田に事務所を持って居る顧問弁護士の石井三太郎を訪ねました。
「おや、春藤さんのお嬢さん、これは一体どうした事です」
半白の石井弁護士は回転椅子をグルリと廻して、この不思議な客を迎えました。
「この方は陽子さん、氏家さんのお妹さんなんです。――氏家さんのお兄さんが、自動車を打っ付けたのでもなく、毒薬を棒紅に入れたのでもないと判ったら、すぐ許して頂けるでしょうね」
「それは言うまでもないことですよ、お嬢さん、が、その反証が容易に挙がらない。氏家さんは、あの晩十時から十一時まで何処に居たかさえ言わない位ですから――」