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みがわりのはなよめ

身代りの花嫁

野村 胡堂

「少女倶楽部」1934(昭和9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,685 字 · 22 页

青空文庫

勇美子の探偵はこんな工合に

「私、探偵をして見ましょうか?」

「…………」

「きっと、きっと、なんか解ると思うワ」

「勇美子さんが?」

陽子は眼を見張りました。あまりこのもくろみが突拍子もなかったのです。併し、勇美子はたった十四ですが、抜群のよい頭を持った少女で、どんなむずかしい考物や謎でも、三十分も経たないうちに解くし、ことに算術が得意で、こればかりは高等師範出の、学校で自慢の数学の先生も驚いて居るという話を思い出して、勇美子さんなら、探偵が出来るかも知れないという心持になるのでした。

「黙っててネ、陽子さん、笑われるとつまらないから、――私は、自分で調べたことを石井さんにお話して、いろいろ骨を折って頂くわ」

石井三太郎というのは、春藤家の顧問弁護士の名です。

「勇美子さんならキットよい考が浮かぶワ。先ずどんな事をするの?」

二人は噴泉の前の石垣にもたれて、数学の宿題を考えるように首を寄せました。

勇美子の探偵はこんな工合に

勇美子と陽子は、それから毎日、学校の放課後外苑に落合って、渋谷の春藤家の門の前から、自動車の衝突した路地のあたり、それから東京駅までの間を、何べんも何べんも往復しました。