轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぐんようそ
軍用鼠
海野 十三
「新青年」博文館、1937(昭和12)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,659 字 · 37 页
と叫んだ。女史はジロリと横目で睨んだ。
「ああ十四子さんなの。アラとてもいい景品ですわよ。今日の景品のなかで、一番素敵な貴重なものだわよ」
と、幹事の谷夫人が、話の割合には薄っぺらな白い西洋封筒に入ったものを持って梅ヶ枝女史の前に飛んできた。女史は少し面映ゆげに、プラチナの腕輪の嵌った手を伸ばしてその白い西洋封筒を受けとりながら――これは十円紙幣かな――とドキッとした。
森幹事が向うの方から大きな声で披露をした。
「鼠の顔、鼠の顔。当った方は、目下読書界に白熱的人気の焦点にある新進女流探偵小説家(新進だなんて失礼ナ、既成の第一線作家だわよ――と、これは、梅ヶ枝女史の憤懣である)の梅ヶ枝十四子さん。景品はァ――どうか封筒からお出しになって下さい――ターキーのプロマイド! そのわけは、娘々が大騒ぎ。――」
というのであるが、この福引の方が「鼠の顔とかけてなんと解く。臥竜梅と解く。その心は幹よりも花が低い」の場合より出来がよろしい。
その理由は、この福引の「鼠の顔(景品はターキーのプロマイド)娘々が大騒ぎ」の方が前者に比較して、ずっと卑近にして、而も相当今日の話題的材料を持ってきたところが勝れているのである。