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ぐんようそ

軍用鼠

海野 十三

「新青年」博文館、1937(昭和12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,659 字 · 37 页

青空文庫

どうも怪しからん奴じゃ」

「いやァ旦那、そう云うけれども、鼠の肉を混ぜたソーセージと来た日にゃ、とても味がいいのですぜ。ヤポン国では、鼠のテンプラといって賞味してるそうですぜ。だから鼠の肉入りのソーセージは、なかなか値段が高いのです。ちょっとこちとらの手には届きませんや」

「手に届かんといって――一本幾何ぐらいだ。オイ正直に応えろ」

「そうですね。一本五ルーブリは取られますか」

「五ルーブリ? ああそうか、よしよし。それくらいはするじゃろう」と、税関吏ワイトマンはホット胸をなぜ下ろし「さあさあ、お前の持ちこもうという品物を早く見せろ、検査をしてやるから」

「へえ。――そこの台の上に載せてあります」

といってレッド老人は、磨きあげたワイトマン愛用の丸卓子の上を指した。そこには蜜柑函大の金網の籠が置いてあった。

ワイトマンは、鼠の籠が自分の愛用のテーブルの上に置かれてあるのにちょっと機嫌を悪くしたが、まあまあ我慢して文句を控えた。そして籠の近くに赭い大きな顔を近づけた。

「オイ、員数は?」

「員数は皆で二十匹です」

「二十匹だって。一イ二ウ三イ……となんだ一匹多いぞ。