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のうそん
農村
宮本 百合子
「多喜二と百合子 七号~十三号」多喜二・百合子研究会、1954(昭和29)年12月~1955(昭和30)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,223 字 · 97 页
犬同志をけしかけてけんかをさせたり、猫に悪戯をしかけたりして居る。
女の子は、一本三四銭位の花かんざしをさして、やっぱり頸巻をまきつけて、菓子屋の店先だの家の角などに三人四人とかたまって、何か話したり、砂利を入れた木綿の「石なご」(お手玉)をしたり、石のおはじきをしたりして居る。木綿の着物にメリンスのお立てなんかにして居るので、妙に釣合が悪くて見っともない。
「きいちゃんの帯いいんだない。どこさから買ったのけえ。
「これけえ、
伊勢屋げからよ。
お蚕様の時、偉え働いたちゅうて買うて呉れたのし。
この地方特有の妙に、しり上りの口調で話してなんか居る。
こう云う処に居ると、私と似寄りの年頃の話し相手はまるで出来ない。言葉の違う故か、きまりを悪がって、どんなに私が打ちとけても口一つきかないのである。それにまた、この村には割合に、娘や若い男の子が少い様に見える。中学校に来るものは大抵他処のものなので、学校の休中は大変に静かになって居る。私が話しかけて快く返事をしてくれるものは大方、年とったものか、女房になったものでなければない。此処いらの一体の子供が、はにかみやのくせに悪口をつくから、何だか私にいい感じを与えない。