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こんどういさみとかがく

近藤勇と科学

直木 三十五

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页

青空文庫

入隊しないと、何うして暮して行けるか見当のつかない人が、沢山に加わっていた。

そして、新撰組は、その人々で、会津兵は東北弁ばかり、旗本は流行言葉――という風に、一団ずつになって、睨合っていた。

大木戸辺まで、町の人々が、隊の両側に、前後に、どよめきつつついてきた。大木戸の黒い門をくぐると

「御苦労さま」

「頼みます」

と、町人達が、一斉に叫んだ。隊士は

「大丈夫」

と、手を挙げて答えた。

三

府中近くなると、もう、人々が迎えにきている。土方も、近藤も可成り前、故郷を離れた切りだったから、新撰組の近藤、土方、若年寄という大役の近藤として、郷土の人々に逢うのは、誇であった。

「御酒と、火とを沢山。用意しておきましただ」

人々は、だんだん増してきて、近藤の馬の左右に、わいわい云いつつついてきた。府中へ入ると、大きい家には、幕が張ってあって、人々が、土下座をして二人を迎えた。一軒の家に

「近藤勇様、土方歳三様御宿所」

と、書いた新らしい立札が立っていた。その前で、二人は馬から降りた。隊土達は、人々に案内されて、寺に、大家に、それぞれ宿泊した。

空っ風に、鼻を赤くして、のりの悪い白粉を厚くつけた女が、町中を走り歩いた。