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こんどういさみとかがく

近藤勇と科学

直木 三十五

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页

青空文庫

「かかれ」

と、叫んだ。軒下の兵が、走り出した。両側から、二三十人ずつも、往来へ、雪崩れ出した。銃声が激しくなって森を白煙で隠す位になると、倒れる者、よろめく者、逃げて入る者、伏せる者、みるみる内に、七八人しかいなくなった。

「周平っ」

土方は、近藤勇が、大阪で疵養生をしていていないからその間に、周平を殺しては、困ると思った。そして、立上りかけると、周平がよろめいて、膝をついた。

「だからっ」

土方は、大声に叫んで立つと同時に、びゅ-んと、耳を掠めた。その音と一緒に、折敷になって

「誰か、周平っ」

と、叫んだ。一人が、周平の手をとって肩へかけようとしていたが、二人共、倒れてしまった。

「誰かっ」

一人も、周平の所へ行く者が無かった。

二

「もっと伏して」

敵の前で、尻を敵に見せて、這いながら退却する事は、新撰組の面目として出来る事でなかった。人々は、後方へ後方へと、すさり始めた。

(危かった)

一人は、今、自分が伏していた所へ、弾丸がきて、土煙の上ったのを見ると、周章てて四つ這いに、引下った。

「周章てるなっ、見苦しいっ」

一人が、後方から、尻を突いて叫んだ。