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ちかごろのかんそう

近頃の感想

宮本 百合子

「文芸評論」1934(昭和9)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,874 字 · 12 页

青空文庫

したがって批評する者の任務は、ある一つの作品、あるいは一つらなりの文学作品について、自分の主観から好きとかきらいとかを表明するところにあるのではなくて、ある作品を生んだ作家が意識しているといないとにかかわらず必ず代表している社会的な要求を、その作品の中でどう形象化しているかという具体的な関係を、創作の内容、形式の統一において、あきらかにして行くところにあると信じている。だから、そういうたてまえの作品批評にあって、相手は特定な個人ではない。その個人が知ってか知らずか代表している社会層が、批評する者にとっての相手であるという訳になる。

それまで漠然とある小説なら小説を読んでいた人は、その小説に対するそういう批評を見て、はじめて、その小説の社会における客観的な意味を理解する場合があるだろうし、作者自身もまた、それまでは自覚しなかった諸点を、その批評によって自身の社会的な認識の中にとり入れる場合もあるだろう。

私は、ある一つの批評が、そういう社会的な役割をはたすことが大きければ大きいほどすぐれた批評といい得るのであろうと思っている。同時に、批評が作家にとって役に立つとか立たないとかいうことも、批評そのものが右のような社会的な役割のあきらかなたてまえの上に堂々と行われ、そして、作家自身が自分の作品について書かれる