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ちかごろのかんそう

近頃の感想

宮本 百合子

「文芸評論」1934(昭和9)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,874 字 · 12 页

青空文庫

「別に文学作品に権威が出て」来たことを意味するのでなくて、「かえって文芸批評などに見られないような本当の批評が最近世間から盛に要求されているということを知らず知らずの間に物語っているものなのである。」といっている。

戸坂氏の、文芸批評でない本当の批評というのは何のことであろうか。戸坂氏は、それによっていろいろな作品批評をもさらに批判し得る大きい客観的規準をもった文明批評の出現の要求を意味しているのである。

また、七月の『文学評論』の巻頭言には、「批評における図式主義の再発を防ぐ」という論文があって私の興味をひいた。

この論文では、創作方法の問題を再び「現実認識の一般方法の問題」「唯物弁証法」に「還元しきる傾向」が最近若い批評家の中にあり、そのような原稿が集っていることについて警告が発せられている。それは正しいと思う。しかし、私はこの巻頭言において、なぜ再びそのような要求、傾向が、特に批評の面において、しかも若い批評家の間から生じているかということの社会的階級的必然性がちっともとりあげられておらず、解剖されないで警告ばかりが発せられたことをむしろ不思議と感じたのであった。