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ついおく
追憶
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,363 字 · 35 页
私は笑み崩れながら跳び付いた。
そうすると叔父は私の頭を押し叩いてくれた。私の満足は頂上に達して踊る様に歩き出そうとすると、今までの様子を傍に立って珍らしそうに見て居た私よりズーット大きい男の子はいきなり賤しいかすれ声を立てて、
「ヤーイ、ヤーイ、チャンコロヤイ
男の癖に髪を長くして居やがらあ。
と云うと赤んべーをしてどしどし逃げ出した。
私は非常に驚いた。
そして間誤付きながら叔父の顔を見ると、子供ながら動かされた程だまって逃げて行く子供の方を見守って居る彼の顔は悲しそうに又厳かであった。
私は心配であった。
けれ共今まで気が付かずに居た叔父の髪の長い事を知ると非常に好奇心を動かされて、高い処にある彼の頭を眺めた。
其処には実に奇麗な――ああちゃんのと同んなじ様だと思った程の光った髪の房が肩の上まで下って居た。
私が目を大きくした位それは立派だった。
素直で厚くて重そうでお飾りの様であった。
「何て好んだろう。
まあほんとに奇麗にそろって光って居るんだろう。
左様思うと私には、男の子が罵った理由がまるで分らなくなった。
何故男の人は髪を長くしては可笑しいのか。