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とうめいねこ

透明猫

海野 十三

「少年読物」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,223 字 · 21 页

青空文庫

母親は、放送局にはかわったことがなかったかと聞いた。青二は、なにもかわったことがなく、お父さんは鉛筆を一本くれたと、答えた。

食事がすんだ。

母親が台所の方へいっているひまに、青二は皿の上からたべのこりの魚の骨をそっと掌へうつした。そして急に立って、二階へとんとんとあがっていった。

「青二、お待ちよ、りんごを一つ、あげるから……」

母親が声をかけたが、青二は、

「うん。あとでもらうから、今はいいよ」

と、いいすてて二階へあがった。すぐ机の前へとんでいった。

机の上には、見おぼえのある赤と青とのだんだらのひもと、ゴムのバンドがあった。気味のわるい二つの目玉らしいものも、そこにあった。

「にゃーお。う、う、う」

「これがほしいんだろう。さあ、おたべ」

青二は、魚の骨を、光る目玉の下へおいてやった。すると、かりかりと骨をかむ音がした。骨がくだけて、机の上からすこしもちあがった。そしてそれはやがて線のようにつながって、だんだんと上にあがり、それから横にのびていった。

「き、気持がわるいなあ」

青二は、ぞっとした。魚の骨が、動物の口へはいってくだかれ、それから食道をとおって、胃ぶくろの方へ行くらしい。