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とじょうのはんにん
途上の犯人
浜尾 四郎
「犯罪科学」1930(昭和5)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,477 字 · 38 页
それは丁度この一月のはじめでした。私は寒い雪の間、ひろ子殺害の方法を研究したのでした。如何にしてひろ子を殺すか。あなたは私がどうやったと思われますか。
私に直接のヒントを与えたのは、あの頃、私の住んでいるA県下一体を襲った猛烈な悪性の流行性感冒だったのです。私のつとめていた小学校の生徒が、毎日一人位ずつの増加率を以て休みはじめたのでした。そうして当歳や二歳の児がたちまち肺炎になって死亡して行くという事が、私の近所でもはじまったのです。私はこれをきいた時、全く時来れりと感じました。
一月の或る寒い日でした。外には吹雪が荒れて、下には四寸位の雪が積っています。機会を狙っていた私はその日朝から珍しくひろ子をだいたりあやしたりやって居ました。暗くなってからひろ子がすやすやとねついたので、敏子は、私にるすを頼んで風呂に出かけました。この時です。この間です。失ってならないのはこのひまです。私は妻が傘をさしかけて出て行くのをたしかめてから、そっと裏口を開けました。
外は今も申すような物凄い吹雪です。私はねているひろ子を出来るだけ着物をはいで、裸体にして抱きました。