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とじょうのはんにん
途上の犯人
浜尾 四郎
「犯罪科学」1930(昭和5)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,477 字 · 38 页
もしほんとだとすれば私は人殺しと並んで居るのだ。しかし、まさか、と思われるようでもある。
こうやって一人いろいろの事を考えているうち、列車はT駅の一つ手前のF駅についたのである。すると相川はむっくり起き上ったが、席をうつした私を見ると、又前にやって来て云った。
「先生、どこまで行くんです」
私はただ一言、
「T駅」
と答えた。
「T市? そりゃ実に偶然です。一緒に降りましょう。私もそこでおりるんです。一緒に歩いて下さい。きっと刑事が私を見張ってますよ」
「そんなわけはないじゃないか」
「いえ、そんな気がするんです。どうもそうらしい。ひろ子の奴が墓場からそういって居やがる。警察に云ったに違いない。ねえ、一緒に歩いて下さいよ」
私はこの際、黙ってうなずく事が最も賢明であると悟って、たてにかぶりをふったまま黙って彼を見た。これ以上何か云う事は一層この男の気狂いじみた振舞をあおるばかりだと考えたからである。
二人が無言のまま向き合って居る間に、列車はついにT駅に着いたのである。
四
読者諸君、これがいつもの私の書くような小説だったら、私は探偵小説の常道として次のように最後の章をむすぶだろう。