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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

丘浅次郎『進化と人生(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人類の生存競争、教育と迷信、誤解せられたる生物学、人道の正体、生物学的の見方、生物学より見たる教育、戦争と平和、動物界における善と悪、脳髄の進化、民族の発展と理科、理想的団体生活。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 页

青空文庫

指先の器用なのは不器用なのにくらべればもとより結構なことに違いないが、これをもって、知力で造り上げた器械の働きと、対等の競争ができるごとくに考えたら大変である。器械を考え出す脳力もすぐれ、それと同時に指先の細工も器用にできればこれに越すことはないが、もし器械を工夫する頭は劣っても指先の器用なほうがよいか、または指先は少々不器用でも脳力がすぐれて巧妙な器械を案出しうるほうがよいかといえば、民族の発展のためには無論後者を選ばねばならぬ。いったい西洋人は物をほめることが上手で、必ずなにかある点を捕えて巧みに先方の気に入るようなことを言うが、わが国の人はとかくこれを正直に受けて、うぬぼれる傾きがある。世界一の美術国だとか、礼儀の正しい国だとか、子供の楽園だとかずいぶん空々しいお世辞を言われてさえこれを信ずるほどであるゆえ、多少事実に近いことを言われてたちまち得意になるは無理もないが、およそ物はほめようと思えば、なんとでも言うてほめられるもので、たとえば人の家を訪うて、色の黒い娘が出てきたら達者らしいとほめ、おてんばならば活発だとほめ、因循ならばおとなしいとほめる。