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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
丘浅次郎『進化と人生(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人類の生存競争、教育と迷信、誤解せられたる生物学、人道の正体、生物学的の見方、生物学より見たる教育、戦争と平和、動物界における善と悪、脳髄の進化、民族の発展と理科、理想的団体生活。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 页
さてなぜ戦争がつねにあるに反し、真の平和が絶えてないかと考えるに、これは人類の性質に基づくことでいかんともいたしようがない。その性質がいかなるものかを論ずることはここには略するが、国と国との戦争はしばらくおいて、いわゆる平和の時代における個人の生活を見ても、生まれてから死ぬまでが実際一個の引き続いた戦争ではないか。フランスの文豪ボルテールも「この世では剣によらねば何事も成就せぬ、吾人は死ぬまで剣を手から離すことはできぬ」と言っているが、これは全く実際のありさまである。ドイツ語では墓地のことを「平和の庭」(Friedhof)と名づけるが、これは人間の生涯が徹頭徹尾戦闘であることを裏面から言い現わしたものであろう。しかして個人間のみがかような次第ではない、人間は元来社交的の動物でつねに団体を形造って生活しているが、団体間の関係も全くこのとおりで、やはり剣によらねば何事も成就せぬ。多数の人間種族が相対して生存しているこの世の中にては、一種族が膨脹する場合には、他の種族に圧迫を加えることをいとうてはおられぬ。まして数多の種族がみな年々膨脹してゆく場合には、その間に衝突の起こるはもとより当然のことである。