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しぜんかいのきょぎ
進化と人生(下)
丘 浅次郎
丘浅次郎『進化と人生(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:自然界の虚偽、進化論と衛生、動物の私有財産、民種改善学の実際価値、我らの哲学。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 页
また今までは目上の者の言うことは絶対に服従をしいられ、自分の思うことは全く通らず、子は親に、妻は夫に、弟子は師匠に、雇人は主人に、初めから頭は上がらぬものと定められてあったが、これでは人間やら器械やら分からぬなどと考える者がおいおい出てきて、まず何ごとよりも先に、われわれも人間であることを認めてもらいたいと叫ぶようになった。これも考えようによってはむろん当然のこととして認めねばならぬが、この申し出を聞き届ければだれもかれもが平等となるゆえ、大いに従来の習慣とは矛盾したところが生ずる。実際の問題を尋ねれば一つ一つに内容は違うが、その因って起こるところを探って見るとことごとく同一である。
一言でいえば、人間の社会なるものは、昔は服従性によって、よく団結していた。しかるに、後にいたって、各団体が大きくなり、そのため自然淘汰がやんで服従性が退歩し始めた。服従性が退歩すれば、物の考え方が変わってきて、従来の制度や習慣には満足ができなくなり、やかましくその改造を迫るという階段までに達したのである。しからば今後はいかになりゆくかというに、団体を単位とした自然淘汰がふたたび起こらぬ以上は、服従性はますます退歩するばかりであろうから、人間の団結はいっそう薄弱になるに違いない。