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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

丘浅次郎『進化と人生(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:自然界の虚偽、進化論と衛生、動物の私有財産、民種改善学の実際価値、我らの哲学。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 页

青空文庫

たとえば甲が乙より釣竿を借りて若干の魚を釣りえたならば、そのうち何匹かを釣竿を借りた礼として贈るであろうが、これがすなわち釣竿なる財産に対する利子である。かくのごとき次第であるゆえ、物を貸して利子をえるという制度は、そのもっとも簡単なる場合について論ずると、全く理にかのうたことで、毫も非難すべき点がないようにみえる。

しかしながらこの制度をどこまでも際限なく許容したならば、いかなる結果を生ずるであろうかというに、これは現今の世のありさまが証明して余りあるごとく、貧富の懸隔が年とともにますますはなはだしくなって、富者は遊んで贅沢に暮らしても、ますます富が増し、貧者はいかに日夜苦しんで働いても貧苦の境を脱しえられぬという不条理きわまる状態におちいるのである。富者の今日受け取った利子は明日からは基金に加えられ、これに対してまた利子がついて、増加の率が始終進んでゆくゆえ、あたかも物体が地面に向こうて落ちきたるときに、一秒ごとに速力を増加するごとくに、たちまち驚くべき巨額に達する。戦乱の絶間なき騒動時代や、専制政治の行なわれた半開時代などには、人の生命にも財産にもたしかな保障がないゆえ、とうてい一人が巨万の富を私するにいたりがたい事情があるが、だんだん世が進んで憲法もでき、生命財産ともにやや安全となり、いかに巨万