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みちづれ
道づれ
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 页
「ただいま」
上り端の三畳の電燈を背のびして捩りながら、
「まあ、おかえったかい、おそかったこと!」
祖母のおむらが、土間に入ったみほ子の方をすかして見た。
「どうおしだろうと、気が気じゃなかった」
「お友達のお見舞にまわったもんだから……」
みほ子は、六畳の長火鉢の前に横坐りになるとすぐ足袋をぬいだ。それから帯をといて、思わず、
「ああア」
拳を握ってトントンと、銘仙の着物の上からふくらはぎを叩いた。店の中では殆ど立ちづめであったし、その時間の電車で腰かけることなど思いもよらないことである。
「おなかがすいてじゃろう。みほ子さんのお好きな芝海老を煮といたよ」
「そうお。すみません」
おむらは、馴れない者はびっくりするような年に不似合な若やぎで、茶色の足袋をはいた足をまめに動かして、みほ子の脱いだものを衣紋竿にかけ、帯を片よせ、チャブ台を長火鉢の横へ立てた。
「ああ美味い」
「ちょっとたべられるだろう、これで十銭よ」
六畳の電燈を鴨居のところまで引っぱって来て、みほ子が洗いものをした。
「さあ、お風呂へいっておいでよ」
みほ子は、風呂敷包みから出した雑誌をめくりながら、